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奇忌怪会blog

東北芸術工科大学のホラー研究サークル(非公式)の「奇忌怪会」のブログです。 こちらではメンバーの雑記。ホラーゲームレビュー。取材のレビュー。などを更新していきます

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ヤマからやってくるもの


 山というものはなにか、強烈なものをもっていると感じます。

 こんばんは、平部員の飽きです。

 われらが奇忌怪会の本拠地である芸工大は、広大な蔵王連峰の裾野にたっています。
すこし歩けばすぐに山の中、クマに注意のチラシや看板が、大学内にも貼ってあります。それほどにこの学校と山には密接な関係があります。

 その蔵王連峰、山形県にあるほかの霊山ほどではないにせよ、昔から山岳信仰がさかんにおこなわれていて、人々はその山に、人を超越したなにかを感じていたようです。
 そうでなくても山というのは、人知をこえた有象無象がおこる場所です。何が、と言われればナニカ、の目撃証言はたくさん存在します。


 私の先輩から聞いた話です。
 芸工大は、その立地のおかげで周りの道路が坂だらけです。その坂の一つで、先輩の友人が、奇妙な人影を見たそうなのです。
 その影は、手にかぎらず腕にかぎらず、全身をバタバタ振るっているような、ぐにゃぐにゃと曲げ伸ばししているような、奇妙な動きをしていたそうです。
 先輩の友人は遠目に見ただけで、それが本当に人だったのか、それ以外のものだったのか、わからなかったそうです。


 先輩がこの話をしたとき、友人の体験談につづけて語ったのが、有名な「くねくね」という怪談でした。友人の目撃したものが「くねくね」ににていたため、同じものではないかと思った、のだそうです。

 「くねくね」はとてもおもしろい怪談です。もし、実際にそれが「くねくね」だったら、同じでなくても元ネタや、それに近いものだったら・・・と、興味はつきないのですが、それが今回の本題ではないのです。

 その話を聞いたとき、私が連想したのは「くねくね」ではありません。
 これも人気の高い怪談、「ヤマノケ」でした。

 「ヤマノケ」を知らない方へ、その内容を簡単にまとめますと、夜間のドライブで、父と娘が山道へ入っていったところ、得体の知れないばけものに遭遇し、娘がそのばけものに取り憑かれてしまう、というものです。
 これはとっても面白くてゾッとする、いい怪談だと思うので、おすすめです。ぜひ一度よんでみてください。→「ヤマノケ」

 話をすすめましょう。私がなぜ「ヤマノケ」を連想したのか、理由は二つあります。
 一つ目は「ヤマノケ」の中のこの文章です。

   『白いのっぺりした何かが、めちゃくちゃな動きをしながら車に近づいてくるのが見えた。
形は「ウルトラマン」のジャミラみたいな、頭がないシルエットで足は一本に見えた。
そいつが、例えるなら「ケンケンしながら両手をめちゃくちゃに振り回して身体全体をぶれさせながら」向かってくる。 』



 テン・・・ソウ・・・メツ・・・とつぶやきながら近づいてくるヤマノケは、人の形には若干遠いものの、全身をぶるんぶるん振り回しているのだそうです。
 ちなみにジャミラというのはこんな外見ですが・・・

 ともかく、『全身をめちゃくちゃに振り回している影』という共通項があるわけです。

 もう一つの理由、それは、この「ヤマノケ」の話が山形と宮城の県境でおこったという事にあります。
 上にかいたように、芸工大は蔵王連峰の近くにあります。その蔵王は宮城と山形の県境にあたります。
 「ヤマノケ」が、山形と宮城の県境にある山にいるのなら、もしかしたらそれは? 先輩の友人が見たものは、「ヤマノケ」という可能性もあるんじゃないかな? と、そう思ったのです。

 という感じでひととおり、自分の主張を書きましたが、そうですね、ツッコミどころ満載の主張だということは承知です。先輩の友人の見た人影が、ただの不審者だった可能性もおおいにありますし、そもそも「ヤマノケ」の怪談にしたって、本当である証拠はありません。
 この記事に書いたことは、あくまで私の勝手な連想であることを、ここに断っておきます。

 ただ、ですよ。似たような場所で似たようなモノを、違うだれかがべつべつに観測した。それって、「誰かがどこどこでこんなものをみた」とは段違いに、そのモノが存在感を増すんです。
 ファンタジーか、創作かと思っていたものが、地理のつじつまがあい、条件のつじつまがあい、一気に現実味を帯びてせまってくる。
 その感覚は謎解きに似ていて、その一致を見つけたときの興奮と言ったらたまりません。ミステリーが好きな人ならきっとわかると思います。謎がとけたあの瞬間と、これはよく似ています。


 学内では、「謎の妖怪(?)がひそんでいる」だとか「校舎が山の形をしているため、山を目指す霊が間違って学校にやってくる」だとか、様々な怪談があります。
 しかし、種類にかぎらず、怪談の語り部はたいてい、
「山がちかいから、そういう事もあるんじゃない?」
 この文句で話を締めくくります。

 先輩の話が、「ヤマノケ」という話じたいがつくりばなしだったとしても、山にはきっとなにかがある。そう感じます。


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